馬の妊娠維持に関連する新しい成長因子の 解析方法の取得および米国における 馬臨床繁殖学教育法について

摘要

競走馬生産において、受胎した繁殖化馬のうちの約1396は流産、死産などにより生子と して産まれてこないと言われており、生産性 損耗の要因となっている。一方、馬の妊娠期 に起こる現象に目を向けると、未だ生殖器官 として機能していない胎子の精巣.卵巣が著 しく肥大化することが知られている。これに より胎子は自ち、活発にステロイドホルモン や成長因子を分泌することで、妊娠の維持お よび自身の成長に重要な役割を演じていると 考えられる（図1)。しかしながら、細胞の 分化、増殖に関与する成長因子群の胎生期に おける分泌動態はまったく明らかでない。こ のような背景の元、平成21年4月20日から3ケ 月間、馬の繁殖内分泌研究を活発に行ってい るカリフォルニァ大学デービス校獣医学校 (図2 )において研修し、1)馬の妊娠維持に関 連する新しい成長因子の解析方法を取得した。