野外血清材料を用いた牛ウィルス性下痢ウィルス(BVDV)抗原検出ELISAの有用性の検討

摘要

牛ウィルス性下痢,粘膜病による流産，下痢，呼吸器病 は，農場へ大きな経済的損失をもたらしている12 3)。牛ウィルス性下痢ウィルス（以下，BVDV)の主な感染源は BVDV持続感染牛（以下，PI牛）であるため，本病の清浄化 および清浄性の維持には，ワクチンでの予防と併せてPI牛 の摘発,とう汰が必要になる。平成26年現在，本病の診断 やPI牛摘発には遺伝子検査，ウィルス分離培養検査，抗体 検査などが実施されている。しかし，これらの検査には特 別な設備や機材が必要であること.結果判定までに時間を 要すること，検査手順が煩雑なため短時間で多検体を処理 できないことなどの課題がある。平成25年9月に体外診断 用医薬品として国内承認されたBVDV抗原検出ELISA (以下，ELISA)は，従来の検査法に比べて簡易な設備で検 査が行え，短時間での多検体処理が可能であることから， BVDVの新しい抗原検出法として注目されている。そこ で.北海道十勝管内で採取された野外血清材料を用いて， ELISAと従来法である遺伝子検査およびゥィルス分離検 査との結果を比較し，ELISAの有用性と活用法を検討した。