北東北で発生した豚丹毒事例からの考察

摘要

豚丹毒は古くから知られる豚の疾病である。ワクチン接 種によるコントロールが可能であり，以前は広くワクチン 接種が実施されていた。特に，豚コレラワクチンとのコン バインワクチンの普及により発症件数が少ない状態で維持されていた。しかし，2000年の豚コレラワクチンの接種 中止とともに豚丹毒ワクチンの接種率も低下し，このこと から力)，現在豚丹毒の発症は増加しているようである。筆者が巡回している北東北の養豚場でも，以前から散発 的に豚丹毒に特徴的な蓦麻疹型の症状が認められたり，食 肉検査で心内膜炎型の症状が確認されることがあつた。こ れらの発生は年1-2例くらいのペースであり，多頭数-多 農場での 発生 は 無く， また，発症してもペニシリン系抗 生物質の注射ですベて完治していたこと，死亡例がないこ とから今まで特に問題にしていなかった。