不気味に広がる酸性雨

摘要

一九六〇年代に入って、中部ヨーロッパから北欧にかけて、森林の衰退等で大きな注目を集めた環境問題に酸性雨があります。 酸性雨というのは、pHが五、六以下の降水（雨や雪の水）　 のことを言います。 天然の降水は、全く汚染されていなくても、ふつう弱い酸性を示します。 それは、大気中の二酸化炭素が雨の水に溶けて炭酸という弱い酸を作り、水を酸性にするからです。現在の二酸化炭素濃度三六〇ppmでは、pH五、六でほぼ平衡状態に達するので、その値を降水の正常値とみなし、pHがそれ以下の降水を酸性雨と呼んでおります。 pHが五、六以下になるということは、pH値を下げるなんらかの物質が降水に溶け込んでい　 ると考えられますが、そのような物質として、通称　 SOxといわれる硫黄酸化物や、NOxといわれる窒素　 酸化物があります。