豚のウイルス性下痢--豚伝染性胃腸炎と豚流行性下痢--

摘要

豚の下痢は呼吸器病と並んで養豚経常にとって大きな生産性阻害要因である。 下痢は様々な原因によってすべての日齢の豚で起こるが，一般に成豚での症状は軽度でほとんど死に至ることはない。 しかし,哺乳期あるいは離乳彼の子豚の下痢は成豚に比べて致死率が高くなるうえ,死亡しないまでもヒネ豚になることが多いために最も経済的損失の大きい病気といえる。ウイルスによって起こる豚の下痢のなかで豚伝染性胃腸炎（TGE）と豚流行性下痢（PED）は現在も全国各地で発生し，大きな被害をもたらしている。 これらの病気は伝播が早く発生率も高いことから，近年の大規模養豚経常でほひとたび発生すればその被害は甚大なものとなり，その予防対策は養豚経営にとってきわめて重要であるといえる。本稿ではこれら豚のウイルス性下瀬川こついて概説し，免疫機構を含めた予防対策について考える。