抗菌剤の使用にともなう エンド卜キシン放出と 急性大腸菌性乳房炎

摘要

酪農家に甚大な被害をもたらしている乳房炎の中でも,Streptococcus agalactiaeやStaphylococcus aureusといった伝染性細菌による乳房炎は，適正な 牛群管理を行うことによって減少する傾向にある一 方，グラム陰性捍菌による乳房炎(大腸菌性乳房炎） は増加傾向にある"。大腸菌性乳房炎の原因菌とし て最も一般的なグラム陰性桿菌はEscherichia coliヒ Klebsiella spp.であるせ'2013年に米国ウイスコン シン州で行われた大規模牛群を対象とした調査結果 では，乳房炎の原因菌として大腸菌が最も多く (21.6%),クレブシエラはそのおよそ3分の1で あった。また，重篤度による分類では.全身性炎症 反応症候群など強い臨床症状をともなうシビアなも の，異常乳と局所症状をともなう中程度（モデレ一 ト）レベルのもの，そして乳汁異常のみを示すマイ ルドなもの，それぞれの発生割合は大腸菌.クレブシエラともおよそ3分の1ずつであったと報告2さ れている。日本においては，平成25年度の家畜共済 統計:i:によると，重篤度がシビアに分類される甚急 性'急性乳房炎の死廃事故頭数1万頭あまりのうち， 原因菌が大腸菌と同定?診断されたものは3,853頭 (34.3%)と最も多く （クレブシエラは分類項目がな いので不明），重篤な大腸菌性乳房炎が問題となつている。