第四胃変位を発症した乳牛の治療後の病歴調査

摘要

第四胃変位（DA）と診断，治療した乳牛1，094頭の治癒後の再発率とその後5年間の予後を追跡調査した。治癒率は開腹整復手術群が非手術群に比べ有意に高かった。 DA治癒牛は826頭で，DA再発が174頭（21.1％）あり，再発率は手術群が14.9％（80頭）で，非手術群32.5％（94頭）に比べ有意に低かった。 また，第四胃左方変位非手術群（L－a）の再発までの月数は8.8カ月で，手術群（L－b）18.0カ月に比べ有意に短かった。 5年後までの死廃は326頭（39.5％）で，L－a群の死廃まで月数は15.4カ月で，L－b群23.5カ月に比べ有意に短かった。 死廃病類別割合は消化器病が30.1％で，県内全死廃18.3％に比べ有意に高かった。 以上から，DAは速やかに開腹整復手術を実施することが，その後の生産性のためにも必要であり，治癒判定後も飼養管理に注意する必要が示唆された。