中国、四国地方におけるダイズ原種ツルマメを 寄主植物とする昆虫相

摘要

ッルマメ Glycine soja Sieb. et Zucc.は日本，朝鮮半島， 中国，シベリア東部など，東アジアに分布するマメ科の 一年生植物で，栽培稀のダイズGlycine max (L.) Merr.の 原種として知られている。日本国内では北海道，本州， 四国，九州に分布し，日当たりの良い平地の野原や道ば たに見られる。特に，ツルマメがダイズ圃場周辺に自生 する場合には害虫の供給源や退避場所となる危険性や， 逆に天敵の温存場所となる可能性も考えられる。また. ツルマメはダイズと交雑可能なことから，除草剤耐性を もつ遺伝子組換えダイズについてツルマメとの交雑条件 や交雑頻度に関する研究が行われ，生態系への影響が 評価されているが，害虫抵抗性をもつ遺伝子組換えダイ ズ（Btダイズ）の生態系影響に関しては，評価に必要 なッルマメを寄主植物とする昆虫についての情報が断片 的なものしかなかった。そこで，国内数か所のツルマメ生地においてツルマメを摂食する昆虫について調査さ れ，チョウH昆虫について概要（地方単位での発生種と 3段階の発生程度）が報告された17)。本報では，この調 査の一環として調べた2011年と2012年の中国、四M地方 におけるツルマメを寄主植物とする昆虫相の全容を報告 する。なお，チョウHについては2011年の一部がこの概 要と重複するが，発生の実数は未掲載であり年次変動を 示すために再録した。