カイコガ亜科のノ《ィォロジ一と性フェロモン

摘要

カイコガ科（Bombycidae)にはカイコガ亜科（Bomby-cini)(カイコ、クヮコなど）とスカシサン亜科（Pris-mostictinae)(日本産の種ではスカシサン，ォォクヮゴ モドキなど）が設定されている（Lemaire and Minet 1998; Minet 1994)。し力、し，近年の分子系統解析からは， カイコガ亜科が単系統群であるのに対し，スカシサン亜 科はカイコガ亜科とは遠縁の多系統群であることが判明 しており（Regier et al. 2008a; Regier et al. 2008b; Zwick et al. 2011),スカシサン亜科をカイコガ亜科の近縁のグ ループとみなすことは正しくない。カイコガ亜科はさら に2つの族（Tribe)に分類され，アジアを中心に分布 するカイコガ族（Bombycini)と，中南米に分布する Epiiniという族から構成される。カイコやクヮコはカイ コガ亜科、カイコガ族に属するが，実はカイコガ亜科は 80ほどの種から構成される多様なグループであり (Lemaire and Minet 1998),例えばべトナムではカイコガ 亜科の10属18種が記載されている(Zolotuhin and Witt 2009) oカイコガ亜科のうち詳細な生活史が判明してい る種はほとんどなく，いずれもその知見は断片的なもの である。筆者らの研究グループは，カイコガ亜科のいく つかの種について，その生活史を明らかにするべく調査 を行っているが（図1)，ここでは比較的入手しやすいと考えられる種について，その概要を述べる。また，生 物学的な特性のいくつかについて，表1にまとめた。