異なる油脂原料を含む食餌で飼育したラットの精巣上体周辺脂肪の脂肪酸組成と成長に対するレカルニチン給与の影響

摘要

消化管内での食下物の発酵が弱い動物では摂取した 食餌中の脂肪を構成する脂肪酸組成が体脂肪に反映さ れ，なかでも長鎖脂肪酸はエネルギー源として消費さ れにくく，体脂肪に蓄積されやすい脂肪酸である.レ カルニチンはこの長鎖脂肪酸をェネルギ一源として利 用する場となるミトコンドリア内に導入すると共にタ酸化によって生じるァセチルCoAのァセチル基を血 中に運び出し，好気的な脂肪酸燃焼を円滑に促進する ことが知られている.レカルニチンは喃乳類の肝臓な らびに腎臓においてリジンやメチォ二ンの代謝産物と して生み出されるため，食餌からの摂取が必須とはさ れていない栄養素である1).しかし，豚肉の品質に対 して影響力を有する脂肪の質，すなわち脂肪酸組成に 対する食餌性しカルニチンの影響がいくつか報告され ている2)3>.その報告の中には，食餌性レカルニチン が筋肉内の飽和脂肪酸総量や一価不飽和脂肪酸総量を 高めること，多価不飽和脂肪酸総量が減少するとしたものがある.このような特徴により取りまとめた脂肪 酸総量としカルニチンの関係について言及しているも のであり.食餌性カルニチンによる脂質利用を通じた 個々の脂肪酸との関係に関する報告は少ない.本試験 では，しカルニチンをまったく含まない試験飼料を容 易に作製できるとともに，しカルニチンの体内合成が 弱い幼弱な動物を対象とするために若齢のラットを用 いて試験を行った.また，脂肪酸組成の変化を検討す る上で.小型ゲッ歯目動物の栄養試験でよく用いられ る精巣上体周辺脂肪を利用した.