ベトナム紅河流域の地水環境と農林業並びにそれらを巡る今日の諸問題

摘要

ベトナム（越南）に対する日本の政府開発援助額は2000年に9億2，400万ドルで，ASEAN10カ国の中ではインドネシアに次いで多い. 日本がベトナムから輸入する品目の中では食料品が20.7％で，繊維製品（24.2％）に次いで多く，輸入に占める食料品の割合はASEAN10カ国の中ではタイに次いで高い（日本アセアンセンター，2002）．これらのことは，ベトナムの農業が日本にとって非常に重要であることを示している. ベトナムにおける最近の経済成長は急激で，2002年のGDPは1995年に比べて1.6倍となっている（General Statistics Office，2003）．1995年には農業と工業分野の生産額がGDPに占める割合は26％と30％であったが，2002年にはそれぞれ22％，37％となっている. 農業分野は依然高い割合を占めているものの，工業分野の伸びが著しい.