アジアの食料生産と環境問題の解明に必要なこと

摘要

東南アジア及び東アジアの国々について、農業と環境の関係が多様であることを論じた。 アジアの農業生産はこれまで人口増加率を上回る伸び率を示してきた。 しかし、1997年の経済危機とエルニーニョの影響を受けたこともあって、1990年代には農業生産の伸び率が人口増加率を下回るようになった。 この事態が継続すると、将来に対して大きな不安要関となりかねない。 経済力がまだ低く、肥料施用量が少ないアジアの国々で、農業生産を向上させることが重要である。 肥料や農薬を輸入せざるをえない途上国の農業でほ、高い資材に依存せず、地域資源を活用するオーガニック農業が重要となろう。 水稲生産に限っていえば、水田は脱窒によって肥料による地下水汚染が生じないメカニズムを有しているため、経済力の低い水田農業国の水稲単収を向上させるために肥料補助金を認める方策も考えられる。 他方、経済力が高く施肥量の多い国々（中国、韓国、日本）では、特に野菜生産と家畜生産の場面で環境汚染が深刻になっているし、ますます問題になると考えられる。