T4ファージの自己集合におけるシャペロンの機能

摘要

Georgopoulos，Hendrix らは70年代始めに，ファージの増殖（growth）に必須な大腸菌遺伝子として種々のgro~-変異株を単離し，その中でファージ粒子の自己集合に関与するものをgroEと名付けた。 餅OEは九ファージの場合は主要キャブシド蛋白質gpE（gp＝gene product）の折りたたみに必要で，grOEのEはその遺伝子名に由来している。groEはT4ファージの増殖にも必須で，同じくキャブシド蛋白質gp23の折りたたみに関与している。 Coppoら（1972）はGeorgopoulos達とは独立に，T4ファージの増殖に必須な宿主遺伝子としてtabBと名付けた遺伝子を発見し，これが頭部の形成に必須であることを示すと共に，遺伝学的にtabBがT4ファージのgp31と相互作用することを示した3）。 tabBはgroEと同一の遺伝子であった。その後，grOEは2つの遺伝子groEL（hsp60）とgroES（hsplO）からなることが分かった。 九ファージの場合は，GroEL，GroESいずれも増殖に必須であるほか，DnaK，DnaJ，およびGrpEも必須であるのに対して，T4ファージの増殖にはGroELのみが必須で，GroESをはじめ，九ファージが必要とする他の分子シャペロンを必要としない。 なお，T5ファージではgroEL／Sは尾部の形成に必須である。