モモの果肉障害'赤肉症'の特徴と発生要因

摘要

近年，岡山県下のモモ栽培では成熟果実の 果肉が赤くなる"赤肉症"の発生が問題になつ ていますo "赤肉症"の発生した果実(赤肉果）は視覚的に劣るだけでなく肉質も 粗いため，市場での評価が低下しがちです。 また，赤肉発生の有無を果実の外観から判断 することは熟練の生産者でも難しく，このた め"赤肉症"は流通過程あるいは消費者の手 に渡ってから問題になることも多いとされて います。岡山県のモモは有袋栽培が中心のた め果皮が乳白色のいわゆる「白い祧」のィ メージが強ぐ，果肉力時兆赤色をしていると， 消費者は両者のギヤップに強い違和感を覚え るようです。これまで，"赤肉症"の特徴， 発生の要因や機構などはほとんど明らかにさ れておらず，いまなお有効な防止策も確立されていません。筆者は岡山大学に在籍中（1999 -2005年）に，岡山県農業試験場，農業改良 普及センター，栽培農家等の協力を得て，モ モの"赤肉症"に関する研究を行いました。