アデノウイルスベクターを用いた培養ケラチノサイトによる遺伝子治療

摘要

遺伝子治療とは疾患の原因、関連遺伝子を生体内に遺伝子を導入することにより治療をはかる方法である。 皮膚は採取しやすい，あるいは直接投与しやすいため遺伝子治療に最も適した臓器の一つと言えよう。 表皮角化細胞の培養技術は進歩してきているが，従来遺伝子を導入することは困難であった。 しかし，近年種々のベクター（遺伝子の運び屋）が開発され可能となってきた。 我々はアデノウイルスベクターに注目し，培養表皮角化細胞，培養表皮シートへの遺伝子導入およびその発現について研究を行い遺伝子治療の基礎実験を行っている。 アデノウイルスベクターは高い効率で遺伝子を導入することが可能であり，現時点では種々の問題点もあるが，新しい改良型アデノウイルスベクターの開発により，遺伝子治療での実用化が期待されている。