植物病原性Ralstonia属細菌の分類の現状と課題

摘要

Ralstonia属ではこれまでに2種の植物病原細菌が報告されており，特に青枯病菌（R．solancearum）はナス科作物ほか数百種の植物を犯す重要病原細菌として広く知られている（HAYWARD，1991）。 青枯病菌には宿主範囲，地理的分布，病原性，疫学的特徴および生理、生化学的性質等の異なる系統の存在が知られている。 近年，分子生物学的手法を用いた解析が進み，青枯病菌は複数種の複合体（species complex）と定義するほうが適切であると考えられてきている。 現状ではXanthomonas 属細菌やPseudomonas syringae群細菌のような種の再分類は行われていないが，遺伝子情報に基づく新たな類別方法が提唱される（FEGAN and PRlOR，2005）など，将来大幅に変更される可能性がある。今回は青枯病菌を中心に，Ralstonia属細菌の分類の現状と課題について述べてみたい。