脳損傷で失われる心の要素

摘要

脳の機能は大きく認知，行為，記憶そして思考と感情に分けることがでさる．外界の変化は，視覚、聴覚、体性感覚刺激として認知され．思考または感情で処理され，外界の変化に即した行為がなされる．それらの過程には竜己憶が大きく関与している．これらの脳のしくみには意識された顕在機能と，知らないうちに潜在的に働いているものとがあり，両者を合わせたものが脳の機能の実態である．脳損傷で失われる心の要素は，認知、感情、記憶、思考、行為のそれぞれにみられ，各種の症候として知られている．これらから示唆きれる脳の臓器としての役割には，運動脳と感覚脳の前後の関係で連行される「環境の中にいかにうまく自己を適応させるか」ということと，左脳に優位性のある「人と人とのコミュニケーション」機能があり，さらに，大脳辺緑葉と前頭前野との関連が現在注目され，第8の役割が明らかになろうとしている．