ウシ初期胚からクローンを作る

摘要

1970年代より体内受精卵移植技術が．1980年代前半より体外受柵技術が発展してきたことにより，1980年代後半からそれらの技術を基本としてウシ初期胚割球の核移植における一連の技術が開発されてきた．それらの研究成果によって，現在では一卵性の多数仔を安定的に生産できるようになった．さらに，初期胚の核移植においてより効率的にその生産性を向上させるためには，レシピエント細胞質の成熟機構に関する知見，ドナー細胞の分母を増やすための体外培養による胚由来培養細胞の棟化，ドナー細胞の細胞周期の斉一化，再構築胚の発育率向上につながる培養液の開発，さらにはミトコンドリアDNAの表現形質への関与等，多くの技術的項目を一つ一つ進歩させていく必要がある．初期胚由来クローン胚は，体内、体外受精胚と同様に父親ならびに母親から遺伝子を受け継いだ有性生殖に基づいていることは当然のことであるが，これらの技術的解明が無性生殖である体細胞クローン技術の向上にも役立つことは首うまでもない．