ベトナム北部で診た風土病

摘要

厚生省国際医療協力研究委託事業「開発途上国における食事関連性疾患の実態把握とその防止に関する研究」（主任研究者：川上正静自治医科大学附属大宮医療センター総合医学第一講座教授）の一貫として，1997年にひき続き1998年8月にべトナムを訪問した。 前回はハノイ市とホーチミン市で，我が国の戦後の栄養問題解決の経験やベトナムにおける栄養問題，栄養学研究の問題点などをテーマにシンポジウムが開かれ，熱心な討論がなされた。 今回のベトナム訪問は，前回のベトナム国立栄養研究所医師とのベトナムにおける栄養問題についてのミーティングの中で取り上げられた，ベトナム北部地域でみられる風土病の現地調査が主な目的であった。この風土病はTea tea-say say病と呼ばれ，ビタミン不足などの栄養異常が原因と考えられている。 その原因解明と有効な治療法の開発が，ベトナム国立栄養研究所の重要課題の1つであることが報告されたことから，本研究班との共同研究が企画され，今回の現地調査が実施されることとなった。