生存戦きとしての体重調節メカニズム

摘要

体重の調節メカニズムは，摂食とエネルギー消費の調節に集約されるわけだが，近年，エネルギー消費における褐色脂肪組織（brawn adipose tissue, BAT)の働きが注目されている。BATは脱共役タンパク質（uncoupling protein-1, UCP1)の発現に特徴づけられ，熱産生に特化した組織である。 近年，食事誘発性熱産生に果たすBATの役割，すなわち個体のエネルギー 摂取に呼応するエネルギー消費調節の仕組みが明らかとなってきている。 本稿では，BATの食事誘発性熱産生を調節する臓器連関に焦点を絞り，体 重調節のメカニズムとその意義について考察する。