バイオイメージングとは

摘要

「バイオイメージング」という技術がある。 超高速で走り回る生物の微妙な動きを確実に捉えたり，生きた細胞の中や体の中でうごめく生体分子の挙動を見えるようにしたりする技術のことである。 バイオイメージング技術の開発により，われわれの生命に対する理解が，以前には考えられなかったスピードで進むようになってきた。 特に蛍光を使ったバイオイメージング技術は，下村　 倍博士のノーベル化学賞受賞により，社会一般にも広く知られるようになった。下村博士によるオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質（green fluorescent protein，GFP）に関する発見は，実に四半世紀以上の時間をかけてバイオイメージングに応用され始め，本稿で解説するように，生きた細胞や生体の中で，特定の生体分子がどこで、いつ、どの程度生成し，機能しているのかを，高い時間、空間分解能で可視化する革新技術の開発につながっている。 これは，細胞内や生体内に数多くある生体分子の中から，可視化したい分子を特異的に靖まえて，それにより蛍光シグナルを生起させる，いわゆる「蛍光プローブ（probe）」と呼ばれる機能性分子の開発のことである。