タマネギからDNAを抽出し食べてみようー家庭科室でのDNA実験ー

摘要

私たち人間は，従属栄養の生物であり，ヒト以外の生物を食物として食べている．しかし，私たちの食生活の中で，生物そのものを食べているという感覚は，一般に希薄である．ご飯粒を一つ残さず食べるということは，生産者への感謝の気持ちの表れではあっても，生命の営みに対しての敬意であることは少ない．米のデンプンは，イネの遺伝子DNAが自らの次世代のために残した発芽のための貯蔵エネルギーなのである．そこで筆者は，今回，読者の一人一人が自分たちでタマネギからDNAを抽出し，それを実際に食べてもらうことができるように実験方法をアレンジしたので報告する．本報では，このような行為を通じて，私たちが日ごろ意識せずに食べているほとんどすべてのものが生物に由来しているということを，また私たちは他の生物のDNAを食べているという認識を読者に伝えようとしている．