採卵鶏农場でのワクモ被害の現状と対策

摘要

鶏に大きな被害を与えている外部寄生虫のうち、近年ワクモによる被害が全国的に増加しています。その理由として、第一に従来からある巿販殺虫剤に対する耐性の獲得、第二に環境変化に強く、吸血なしでも長期間生存可能な特性、第三に自動集卵機など鶏舎構造の複雑化、第四にポジティブリストによる薬剤の制限などが考えられます。そんな中、当所管内でもワクモ被害症例がみられ、有効なワクモ駆除法の検討が必要と考えました。そして被害状況を調査し、環境衛生資材を用いた対策の方法や効果について検討しましたので、概要について報告します.本題に入る前に、まず、ワクモとトリサシダニの特徴について説明しておきます。ワクモは、昼間ケ—ジの陰などに生息し夜間にのみ鶏に寄生して吸血します。寄生部位は特に頭頸部、繁殖は早春から秋、卵から成ダニには八-九日かかります。