ヨーネ病の清浄化に向けて

摘要

ヨーネ病はヨーネ菌の感染によって起こる牛、 山羊、ヒッジ等反芻動物の慢性消耗性消化器感染症であり、日本では1971年に家畜法定伝 染病に指定されている。牛のヨーネ病は、結 核病、ブルセラ病と並び、「撲滅対象疾病」と して法定伝染病の中でも清浄化を目指す疾病 のひとつに指定され、1998年以降、搾乳牛お よび繁殖用種畜を対象に家畜伝染病予防法第 5条に基づく定期的な検査を実施し、患畜の積 極的な摘発淘汰が進められている。しかしな がら、同様な対策を講じている結核病および ブルセラ病は発生頭数が減少し、近年は散発 的に報告されるのみであるのに対し、ヨーネ病 は現在でも年間数百頭が摘発される状況にあり (図1)、「撲滅」とは程遠い。このような状況を 受けて、2013年4月より、新たな個体診断法と してリアルタイムPCR法による糞便の遺伝子検 査が法定検査に導入され、検査体系が大きく 変更された。本稿では、ヨーネ病の感染、診断、防疫対策について最近の知見を交えて再 考し、今後の防疫戦略の一助としたい。