乳牛に求められる育種改良と現場での飼養管理ー泌乳曲線平準化の必要性とその効果ー

摘要

遺伝的能力を100%発現させるには、良質の飼料をよく食べさせる、病気にさせなレストレスを与えないなど、十分な飼養管理が 必要であるが、個体乳量の向上は顕著である 一方、牛の更新産次は短くなつた。そのため、 高泌乳化によって増加するはずの収入が、疾 病や繁殖の遅れによつて必ずしも実現してお らず、加えて分娩前後の飼養管理の難度化、 乳生産に対する飼料費の増加など、生産者の 抱えるストレスが極めて大きくなっている。 特に、わが国の酪農においては労働時間が 最大の制約要因といわれており、分娩前後の 労働時間の制約を軽減し、誰しもが容易な飼 養管理で高泌乳牛がもっている遺伝能力を発 揮できるようにする意義は高い。従来、1乳期乳量はピ-ク乳量の200倍というのが一般 であり、総乳量を上げるためにはピ-ク乳量 を上げることであった。しかし、305日乳量 が6000-7000kgから現在の9000-1万kg に上がるにつれ、ピーク乳量も30kg台から 50kg台に上昇した。