海外における家畜および畜産物の個体自動琵難システム

摘要

畜産分野において牛を管理するための認識方法として牛に耳標を装着し、そこに書かれた文字や数字で牛を管理する方式は欧米諸国を始めとして我が国でも従来から広く行われている。近年、欧米において人による認識にょらず、自動的に認識する自動認識システムが急速に普及しつつある状況にある。 ヨーロッパにおいては1996年の狂牛病（BSE）の発生により牛肉と牛肉製品の市場が危機に陥った。 その対策の一つとして、EU（欧州連合）では1997年4月21日付けで「牛の個体識別と登録ならびに牛肉と牛肉製品のラベリング」に関するEU規定（EC）820／97を制定した。 この規則は牛肉と牛肉製品の品質に対する消費者の信頼を回復し、人と動物の健康と保護を目的としており、牛肉と牛肉製品の追跡性、すなわち商店のカウンタから解体、屠畜を経て個別の牛または牛群までの追跡に重点が置かれている。 このような追跡性をより確実にするため、また、家畜の改良、飼養管理の合理化、さらには各種の補助金に関する不正防止の目的で、ヨーロッパなどではバーコードや電子的識別（トランスポンダによる識別、無線を使った識別方式）などの自動認識システムがすでに国のレベルで実施ないし調査研究が行われている。