牛群の繁殖障害の把握、診断および評価について

摘要

言うまでもなく家畜の繁殖は畜産の基本であり、繁殖なくして畜産業は成り立たない。　乳牛の繁殖成績は十数年前から徐々に低下してきており、その間、問題解決に向けさまざまな対策がなされてきた。しかし、これまでのところ全体的にはその成果が現れていない。さらに、一昨年来の飼料価格や燃料費の高騰により酪農家の経営は圧迫ざれ乳用牛の置かれる環境が悪化する懸念が出てきている。　このような情勢の中で酪農家が経営を継続していくためには、今現在の収入の確保はもとより次年度の生産計画に余裕を持てることが重要であり、そのためにも繁殖性を高めること、すなわち受胎牛を確保することが緊急課題となっている。このような状況下にあって筆者らが繁殖障害をできるだけ的確に把握、診断するために何を考え、何をしてきたかを紹介したい。