畑地植生の特徴とその管理（2) : 雑草の利用と可能性

摘要

前回、雑草の持つ特性として触れましたよう に、脱粒性や種子多産性、発芽の不均一性など は、農業における除草圧をかいくぐるための雑 草の生活史戦略として重要な特質です。これら の特質をうまく活かすことができれば、雑草は 有用な資源になりえます。例えば、ィヌビエ(Echinochloa crus-galli)は、田畑等の雑草であ りながら、飼育牛の粗飼料として嗜好性が高く、 また栄養価も牧草に劣らないほど高いものとし て知られていました。佐藤ら（2001)は、中山 間地に拡がる耕作放棄された農地を飼料畑とし て利用するために耕作放棄地に生育するィヌビ ェの雑草性を最大限活かした省力的な採草体系 を提案しています。耕作放棄地にイタリアンラ ィグラス早生種とィヌビエ種子を混播したとこ ろ、イタリアンライグラスを2回収穫したあと にさらにィヌビエを2回できるため、年間約 1,400kg/10a (うちィヌビエ約600kg)の収量 が得られることを報告しています。さらに、雑 草としてのィヌビエの脱粒性や種子多産性、種 子休眠などを活かせば、ィヌビエは初年度の播 種のみで次年度以降も更新される可能性を示し ています。