ADLに関するケア決定プロセスモデルの設計

摘要

2000年4月にスタートした公的介護保険制度においては，介護を実施するための具体的計画をケアプランといい，ケアマネジャーによって作成されている．介護の質を確保するためには，ケアプランを策定するための方法論の確立が不可欠である．そのためには対象者の状態から妥当なケアプランを導出するためのプロセスを明らかにする必要があるが，論理的·科学的なプロセス設計に関する取り組みは行われていない。 本研究では，介護現場における調査，文献調査から特定した問題を踏まえ，ケアプランを導出するためのプロセスを，対象者に必要なケアを導出するための「ケア決定プロセス」と，必要なケアを提供するための介護サービスの計画を立案するための「サービス計画立案プロセス」に分離して捉えることとした．次に，日常生活の基盤となるADLに焦点を当てケア決定プロセスが備えているべき要件について考察し，プロセスにおける具体的な検討内容·検討方法を明らかにした．さらに，ADLに関するケア決定プロセスを実現するための具体的なモデルとして，具体的な手順と，手順を実行するために必要なデー夕べース構造から構成される「ADLに関するケア決定プロセスモデル」を設計し，モデルの妥当性を検証した．