玄米および小麦試料の残留農薬分析における抽出時の水浸漬効果

摘要

農薬の作物残留試験において，乾物試料（玄米，稲わら，小麦，大麦，大豆，茶など）の抽出の際には，20～40％に含水した極性溶媒を川いるか，試料にあらかじめ等量程度の水を加えてから梅惟溶媒を加え，振とう抽出することで抽山効率か向上するとされている．環境省告示試験法，厚生労働省の以前の舎ホ試験法および現通知法においては，水を添加後，2時間放置する方法が採用されている（多成分一斉分析法においては，水を添加後，15分聞放置する方法か採用されている）．しかし，分析法の迅速化の中で，2時間という水浸漬操作は分析操作上で時間的律速段階となっている．必ずしも2時間という長さが必要ではないとの見解もあるが，検証したデータの公的な報告は見当たらない．水添加操作は，特定の農薬の分析他の低下を引き起こす事例も知られている．例えば，環境省告示試験法における麦、雑穀類，豆類中のフェントエートの残留分析法では，抽出の際に水の添加操作は採用されていない．