硫化浮選によるセメントキルンから発生するKパウダー中のPb成分の分離--第2報　薬剤添加方法の変更による浮選処理の高効率化の検討

摘要

セメントキルン·プレヒータ系から塩素バイパスシステムによって抽気·回収されるKパウダーには，塩化物（KCl）の他にセメント原料（主にカルシウム成分）と重金属類（主に鉛成分）が含まれている2，3）。塩化物や重金属類等は，セメントの安定製造を妨げる忌避成分であり4），これらはセメント工場で原燃料として受け入れる廃棄物等から持ち込まれる。近年，セメント工場での廃棄物の受け入れ量は増加傾向にあり，これら忌避成分が濃縮した虹パウダーの発生量も増加することが予想され，Kパウダーの再資源化のための分離技術の開発が焦眉の課題となっている。筆者らはこれまでにKパウダー中の鉛成分の分離を目的に，そのキャラクタリゼーションを行い，粉体特性2）ぉよび構成鉱物割合3）を明らかにした。また，硫化浮選で鉛成分とかレシタム成分を分離回収する基礎検討を行い，鉛浮選回収率60％以上，鉛回収物の鉛品位10～30Ⅵ丑％を可能とした5）。しかしながら，これら浮選成績はKパウダーの再資源化には必ずしも十分とは言えず，また，浮選条件付けにおいては，鉛浮選回収率の低下原因となるパルミライト（K_2Pb（SO_4）_2）の生成を抑制するため，煩雑な工程管理が必要になる等の課題が明らかとなった。