自家軟骨細胞移植の現状と足場素材導入による新しい展開

摘要

再生医療はこれまで主に足場素材を用いない自家細胞移植で臨床応用を準め、臨床上の成果をあげてきた。最も普及している再生医療として、関節軟骨欠損に対する自家軟骨細胞移植法(ACI原法）が 挙げられるが、このACI原法も足場素材を用いない再生医療である。スポーツ外傷や離断性骨軟骨炎 などによって生じる関節軟骨の局所的欠損に対し、培養増殖させた自己軟骨細胞を欠損部に投与する 治療法であり、すでに15000件以上の実施例を数える。しかし、弾性の高い組織である軟骨の欠損を、 力学強度のない細胞懸濁液で補填するため、投与した細胞の逸脱や剥離などの問題点が指摘されてい る他、従来の治療法とくらべ臨床上の優位性が認められないなどの限界が指摘されている。