Doripenemの膵組織移行性に関する研究，特に膵組織内濃度/血清中濃度の比の重要性について

摘要

注射用力ルバぺネム系抗菌薬であるドリぺネ厶（DRPM)は力ルバぺネム系抗菌薬 のなかでも抗菌活性が強い薬剤であるが，今までヒト膵組織への移行性に関する報告はない。重症急性脬炎に対する抗菌薬として，今回，我々はDRPMの脬組織への移行性に関する検討を行った。DRPM0.5g点滴静注し，点滴開始1時間後に採取した6例において，血液，膵組織 を採取し，血清中，膵組織内のDRPMの濃度を測定した。膵組織内濃度は0.58-5.39mug/g,血清中濃度は15.7-34.1mug/mLであった。また，脬組織内濃度/血清中濃度の比は0.02-0.24であった。DRPMは十分な脬組織移行性があり，急性膵炎における膵感染の制御に有効な選択肢として期待できると考えられた。