コ厶ギ遺伝資源の持つ表現型、遺伝子型多型の 評価: -ゲノム情報活用の現状と課題-

摘要

コムギは世界三大榖類の一つで、年間約6億トンが生産され、世界の多くの地域で主食とされて いる重要植物である。6倍体で17 G塩基対という巨大なゲノムを持つコ厶ギのゲノム研究は、ほか の作物の遅れをとつてきた。いまや三大榖類の中でゲノ厶情報が解読されていないのはコ厶ギだけ であり、その農業上の重要性からゲノム解読の成果の育種への展開が期待されている。コムギのゲ ノ厶配列解読は国際コンソーシアムの主導のもと、各国が21本の染色体を分担し合い進められてい る。染色体のフローソーティング技術と次世代シ一ケンシング技術を基盤として、ようやくゲノム 解読が端緒についたところである。一方で、ゲノムの完全解読を待たずして、品種間の遺伝的多様 性の評価のための高効率マ一カーシステムの開発が進んでいる。ゲノム時代が幕を開けようとして いる今、コ厶ギの遺伝資源のもつ多様性はどのように利用されるべきかを考えてみた。