二ホンナシ「ジョイン卜仕立て」の技術開発と展望: 樹形改造による栽培管理の大幅な省力化に向けた取り組み

摘要

全国の果樹産地では生産者の高齢化、後継者不足が深刻な問題であり、販売価格の低迷とも相まつ て危機的な状況に陥っている。果樹農業を若者にとって魅力ある産業とし、次世代の担い手を確保 していくためには、未だに経験と重労働に頼ることが多い果樹生産について、栽培の核となる仕立 て法を単純化し、栽培管理を大幅に省力化、簡易化することが重要である。二ホンナシの「ジョイント仕立て」（特許第4895249号）は、樹体を連続的に接ぎ木により繋げ、 直線的な集合樹に仕立てる新たな発想をもとに生まれた樹形である。これまでの仕立て法では困難 であった栽培管理の省力化、剪定の簡易化、早期成園化など果樹栽培特有の課題について、高度な 技術や経験を駆使することなく実現できるものとして、改植を必要とする生産現場を中心に技術の 導入が進んでいる。ここでは、「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」により得られた栽培管理の省力化 に関する硏究成果と、そこからリンゴ、モモ、カキ等へのジョイント仕立て適用樹種拡大プロジェ ク卜に展開している同事業について紹介したい。