「生産性とは不断の改善をめざす精神の状態である」

摘要

量の右肩上がりが期待できないなら、あらゆる分野の生産性を高めて収益の向上につなげようという発想が出てくるのは当然で、全国段ボール工業組合連合会が昨年暮れに「全要素生産性向上委員会(TFPコミッティー)」を立ち上げたのもそうした動機によるものだろう。段ボールは紙パ関連産業の中で今なお量的拡大が見込める数少ない事業領域だが、基本的にドメスティックな産業だけに今後さらに少子高齢化などが進めばプラス成長は期待できなくなる。全段連としては、それを見越していち早く手を打った形だが、大坪清理事長(レンゴー会長兼社長)は2007年から関西生産性本部(KPC)の会長職を務めており、そこでの問題意識が全段連の取組みにも反映されているのは間違いなさそうだ。ちなみにKPCのWEBサイトには「生産性の精神」と題して次のような文言が紹介されている。「生産性とは、何よりも精神の状態であり、既存するものの進歩、不断の改善をめざす精神の状態である。それは、今日は昨日よりも、明日は今日よりもまさるという確信である。それはまた、条件の変化に経済生活を不断に適応させていくことであり、新しい技術と新しい方法を応用せんとする努力であり、人間の進歩に対する信念である」(ヨーロッパ生産性本部「ローマ宣言」1959年3月)。簡潔にして高い精神性に裏打ちされた、良い言葉であると思う。