菅首相の「2050年までにGHG排出実質ゼロ目標」を各界が好感

摘要

菅首相は10月26日の国会における所信表明で、わが国の歴代首相として初めて「2050年までに国内の効果ガス(GHG)排出を実質ゼロにする」と宣言。これに対して各界から歓迎のメッセージが寄せられている。以下、ランダムに要旨を紹介していこう。まず、国連のグテレス事務総長は「極めて重要かつ前向きな動きだ。日本の50年目標達成が技術的にも財政的にも可能であることに疑いはない。目標達成に向け具体的な政策措置を提案し、履行することを望む」とコメント。また欧州連合(EU)のフォンデァライエン委員長も、ッイツターに「大いに歓迎する。気候変動を止めるため、すべての先進国が設定すべき目標だ」と投稿した。国内では日本経団連の中西宏明会長が「国際社会が気候変動に対する危機感を強める中、パリ協定が努力目標と位置づける1.5°C目標とも整合する極めて野心的な目標を掲げることは、持続可能な社会の実現に向け、わが国の今後のポジションを確立する英断であり高く評価する。脱炭素社会への移行に資するイノベーションの創出を国家戦略と位置づけ、官民一体となって大胆な取組みを一段と強化・加速していくことが極めて重要だ」とコメント。日頃は辛口で知られる環境NGOなどの非政府アクターもひとまず好意的なメッセージを寄せているが同時に課題の多さを指摘する。気候変動イニシアティブ(JCI)の末吉竹ニ郎代表は「日本政府が2050年までの脱炭素社会の実現を明確な目標として掲げたことを歓迎する。すでにJCIに参加する多くの企業、自治体が行動を開始しており、こうした広範な非政府アクターの先駆的な取組みに政府も応えたものと考える」と評価したうえで「重要な一歩だ力、問題はこれから。30年後の目標を掲げるだけではなく、2030年までの大幅削減を目指し、具体的なロードマップを定めて今すぐに行動を強化しなければならない。政府には、改めて2030年までの国別目標を強化し、GHG排出削減目標を引き上げるよう求める」としている。