Airbnb/民泊は地方活性化の切り札となるか

摘要

本号「今週の数字」では、国立社会保障•人口問題研究所が取りまとめたレポート「日本の地域別将来推計人口」を紹介している。2030年以降は47の全都道府県で総人口が減少するという、ある意味ショッキングだが想定内でもある推計結果が示されており、とりわけ深刻なのは人口減と高齢化が同時に進む地方の実情だ。例えば秋田県は、2015年の総人口102.3万人が30年後の2045年には4割以上少ない60.2万人まで減少する一方、65歳以上の全人口に占める割合は50.1%、すなわち2人に1人が高齢者という社会を迎える。こうした人口減による過疎化に悩む地方が、地域活性化の切り札として期待しているのが来たる6月15日施行の住宅宿泊事業法(通称：民泊法）を活用したインバウンド需要の取り込みである。広告代理店の電通が今年1〜2月、世界20ヵ国•地域で実施した「ジャパンブランド調査2018」によると、宿泊施設·民宿を貸し出す人向けのWebサイトであるAirbnb(エアビーアンドビー）が近年、世界的に注目されており、日本については特にアジア·ASEAN圏の人々の間で利用意向が強い。今回の調査結果においても日本で「Airbnb/民泊」を利用したい人は3割強に上り、これから訪日客の増加が見込まれるASEAN、特にタイやマレーシアでは4割を超える結果となった。また地方訪問意向では欧州や北米に比べて東アジア·ASEANの意向が強く、電通は今後「地方への訪問客はアジア圏が増加する」と推察。そのうえで「アジア圏で人気の高いAirbnb/民泊は特に地方にとって重要な宿泊施設であることから、地方都市活性化の鍵を握る可能性が高い」と分析している。