中国通信機器多国籍企業の海外進出戦略

摘要

中国通信機器企業の海外進出が，大きな関心を呼んでいる。20年あまり前まではマトモな通信機器企業が なく.中国の通信市場は欧米や日本などの先進国企業の独占状態であつたが，今日では世界のICTインフラ 設備企業トツプ3の内2社が中国の企業である。かって先発多国籍企業の1/200の規模でしかなかった中 国企業だが，20年後には総売上ベースで業界世界トッブに躍り出たのである。中国通信機器企業の海外進出は，先発多国籍企業とは異なる「逆向き戦略」を採っている。つまり，所得水 準の低い国と地域から始まり，しだいに経済発展の速い新興国，さらに欧米や日本などの技術水準と共に所得 水準も高い先進国へと進出したのである。国家戦略に左右される中国多国籍企業の海外進出であるが，2013年に打ち立てられた「一帯一路」という 新たな国家戦略に中国の通信機器多国籍企業はどのような影響を受け.今までの「逆向き戦略」にどのような 変化が生じるかが，注目されるところである。