日本企業の「内なる国際化」とグローバルな人材活用の方向性

摘要

海外直接投資（FDI)やクロス•ボーダーのM&A (合併•買収）を通じて企業のグローバリゼーションが 急速かつ広範囲で進展する現在，それに対応できる人材はなぜ必要で，そのような人材とはどのような特徴を 持つのだろうか。日本企業においてグローバリゼーションに対応する人材，とりわけ日本人という国籍を超える人材の獲得•育成•確保においてどのような課題や特徴が存在するのだろうか，またその課題解決のために人事部門はどのように対応し，その場合にどのような施策や秘策があるのだろうか。日本における「グローバ ル人材」をめぐる風景は将来.どのような様相を呈しているのだろうか。本小論では，これらの視点から若干の論点を提示したい。まず，日本における外国籍社員の採用と活用についてその現状とポイントを考察する。第2に，「内なる国際化」として日本本社における課題をダイバーシ ティへの対応への一環として考えてみる。第3に,海外現地法人における人材育成に対する世界本社の関与 の状況を検討することを通じて.日本企業における国際的人材開発の課題の一端を見る。最後に，それらから考えられる方向性などについて考察を加えることにする。