欧米での水環境に残留する医薬品類に関する研究状況

摘要

2007年度に欧州や米国で開催された水環境に関わる医薬品·日用品（PPCPs）汚染を扱 ったMicropol & Ecohazard 2007（IWA），Compounds of Emerging Concern（CEC）特別 会議（WEF），Pharmaceutical Products in the Environment（KNAPPE）で発表された欧 米での水環境の医薬品汚染に関わるモニタリング，毒性評価，リスク評価，対策技術，マ ネジメントに関わる研究情報をとりまとめた。この結果，おもに関心がもたれている PPCPsは，抗炎症剤，鎮痛剤，βブロッカー，抗てんかん剤，抗生物質，抗菌剤，抗癌 剤，造影剤など多様であり，すでに下水，下水処理水，河川水，地下水などで広範囲な汚 染の実態調査が行なわれていることが明らかとなった。また，これまでの下水処理技術で は，SRTやHRTを操作してもPPCPsの除去の効果改善がみられない場合もあり，RO等の 膜分離やオゾン·促進酸化処理（AOP）を利用した除去の研究が，下水処理，浄水処理の 両方で行なわれている。また，限られた毒性情報からリスク評価やその精度の議論も積極 的に行なわれ，リスク物質の絞り込みや複合的なマネジメントも検討されている。