ドクターすどラの環境ってなんだろう

摘要

被食者は捕食者に捕まらないために，また捕食者は被食者を効率よく捕まえるために，それぞれさまざまな戦略をとっています。そのいくつかをここに紹介します。飼となる動物が捕まらない方法として，自分の色や姿を棲み家や他の生物に似せてしまう場合をカモフラージュ(模倣)とよんでいます。とくに色を似せる場合は，保護色あるいは隠蔽色とよんでいます。昆虫では，その姿が植物の葉や樹皮などによく似ているのですが，これは視覚で飼を捜している鳥類にみつからないための方策といえるでしょう。一方，捕食者のほうも飼となる動物への接近を気付かれないように同様のやり方をとっているものが多いのです。トラの縞模様，ヒョウやヤマネコの斑点模様は，これらの背景にうまく溶け込むことができるためのものと考えられます。動物園のなかでは目立つ縞や斑点模様も，自然のなかではみごとに機能を果たしているのです。極地の氷雪の上で暮らしている動物は，ユキウサギ，ホッキョクグマ，ホッキョクギツネ，シロハヤブサ，ライチョウ，シロフクロウのように体色が白いものが多いのです。また温暖な地域にいる哺乳類や鳥類でも，冬になると極地付近の動物と同様に白色になるものが多いのです。これは捕食者と被食者の両方とも保護色が有効に働いていることを示しています。