ダクタイル鋳鉄管のモルタルライニングの中性化と機能劣化に関する研究

摘要

近年、水道施設の老朽化が進み、その更新計画の策定が不可欠なものとなっている。今回、老朽化したダクタイル鋳鉄管の更新計画を策定する際の耐用年数推定のための知見を得るため、管内面の モルタルライニングの中性化について各種試験を行った。モルタルライニングの中性化促進試験では、一般のコンクリート構造物に比べて非常に薄いモルタルライニングにおいても試験期間48週で中性化深さが4mmに達し、中性化深さが時間の平方根に比例することが確認できた。成分分析では、モルタルライニングは中性化するとカルシウム成分が減少することがわかった。強度及び耐久性試験の結果から、中性化したモルタルライニングは表面強度が低下したものの、切管・穿孔時の振動によるクラックや剥離、防食性能の劣化については、中性化していないモルタルライニングとの間に明確な差は見られなかった。これらの結果から、モルタルライニングは中性化後も一定の機能を果たしているものと考えられた。