消費税軽減税率制度への業界対応について

摘要

社会保障と税の一体改革として、消費税は2度の延期を経ていよいよ2019年10月には10%へ引き上げられ同時に低所得者への配慮の観点から「軽減税率制度」が導入されることになります。これにより、「軽減税率制度」の下では、標準税率（10%）と軽減税率（8%）の2つの税率に対応することになります。加工食品卸売業としては「適用税率ごとに区分した消費稅の計算」や「商品ごとの適用税率およびその合計額を記載した請求書。019年10月区分記載請求書等保存方式、2023年10月適格請求書等保存方式）等の発行」といった新たな作業が必要になり、日々の業務の中で製造業からの仕入と小売業への売上の双方に対応する必要があります。消費税の複数税率化は、稅率判定等複雑さがあり流通業界に負担のかかる制度になりますが、なにより食品流通は裾野が広い業界ですからこの制度の周知徹底が重要であり、周到な準備が必要となります。そこで一般社団法人日本加工食品卸協会（以下、日食協）では、請求書記載内容や関連業務の運用などの企業間取引に係る影響範囲や課題を明らかにし、加工食品卸売業として商取引上混乱なく対応する目的のために、「情報システム研究会」の専門部会として「軽減税率対応システム専門部会」を設置して、対応ガイドライン「消費税軽減税率対応企業間取引の手引き」を取りまとめることとしました。中間流通機能を担う我々卸売業がいち早く業界としての明確な対応方針を発信することが製造業や小売業の皆様にとりましても円滑な対応につながるものと考え作業をすすめました。この「手引き」書は財務省•国税庁などの各発表資料と情報武装型卸売業研究会（以下、卸研。事務局：一般財団法人流通システム開発センター）2016年度研究委員会報告書「卸が想定するインボイス対応2016」の資料を基に検討し、財務省•農林水産省をはじめ関連省庁のご協力をいただき取りまとめることができました（尚、この手引書は2018年11月に第2版を日食協HPで公開）。