気候変動交渉とエネルギー政策

摘要

昨年，IPCC (気候変動に関する政府間パネル）第5次評価報告書が公表され，2015年12月のCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議）に向かう今，国内のメディアは「 2 ℃シナリオ」への期待が世界的に高まつているかのような報道を繰り返している。それを見聞きしている世の人々は，国際交渉で合意さえできれば2℃シナリオは実現できるのだ，だから日本は厳しい目標を定めるべきだ，と考えるかもしれない。しかし，実際には，2 ℃シナリオは目標とするには足元の現実からのギヤップがあまりに大きく，その実現は幻想に近い。