火力発電の技能伝承は進化するか？

摘要

昨年10月，菅義偉首相は所信表明演説の中で，2050年までに日本の温室効果ガス排出量を全体としてゼロ，すなわち「カーボン·ニュートラル」の実現を目指すと表明した。少し前から非効率石炭火力の早期退出誘導に向けた規制強化やエネルギー基本計画の見直し議論もスタートしていたが，所信表明を契機に一段と盛り上がりを見せ，様々な分野でカーボンニュートラルに関する話題がまさに氾濫している。今更言うまでもないが，エネルギー政策は大変重要な国家戦略である。資源のないそして産業立国である日本にとってどのような選択が相応しいのか，単に欧州等の事例に追随するだけではなく3E+Sを前提とした具体的かつ冷静な議論を期待したい。また，将来目指す方向を小すだけでなくそこに到達するまでの道筋を具体的に描くことも大切である。私自身は，再生可能エネルギーの比率を高めつつも，原子力と調整力としてのウェイトが高まる火力は一定規模必要だと思っているが，どの断面においても安定供給の維持と国際的に高いエネルギー価格の低減に向けた取り組みは不可欠である。産業を含めた全ての分野に与える影響と，その結果として国民に与える影響も可能な限り示すことで多くの人の理解と協力を得ることが大切ではないだろうが。