マゲネツウムのアノド酸化: 酸化皮膜構造と成長メカニズムおよび耐食性

摘要

マグネシウム（Mg）は実用性を持つ金属としては最も標準電極電位が低く.腐食しやすい卑な金属であるが，その軽量性に加えて高い比強度，リサイクル性，生体親和性など優れた特性から，未来材料としての大きな期待を担っている近年特に，マグネシウム素材の難燃性の向上に伴い，自動車部品に加えて，鉄道車両等の輸送機器への適用も考慮されている。このような実用の為には，マグネシウムに充分な耐食性を付与する表面処理が重要であり，中でも高い耐食性を期待できるァノード酸化処理を用いた表面酸化皮膜の役割が大きい。マグネシウムのアノード酸化の中心は火花放電を伴うプラズマ電解で，いわゆるアルマイトなど一般的なアルミ二ゥム（A1)のァノード酸化皮膜とは生成メカニズムの異なる部分が多い。本稿では，マグネシウムのアノード酸化の基礎的挙動と皮膜成長メ力二ズム，皮膜構造と耐食性の関係に関して，著者らが行ってきた研究を中心として解説すると共に最近の話題を紹介し，基礎を把握した上で今後の発展性·方向性を考え，現状での課題を探る参考にして頂くことを目標とした。本誌には先にマグネシゥム表面の酸化現象およびァノード酸化や，絶縁破壊（プラズマ）電解に関して解説しているので，併せて参照頂きたい。