海洋産業振興施籠に関する一考察グローバルな知識・イノベーション志向の拠点創出へ

摘要

世界でも高いコスト水準の国となった我が国の海洋と海事の産業分野であっても、比較優位の保持を可能とするためには、技術と知識・情報の結合によるコスト効率の良い産業構造への転換支援を目的とした拠点の構築を検討することが産業振興の施策の1方策であろうと考える。そのためには、海洋と海事の産業分野を取り巻く特殊な環境と拠点の創設のための要件について共通した認識を持つ必要がある。そして、海洋、技術、知識・情報の要素が活かせること、その前提として、グローバルな展開と競争優位（低コスト化と差別化の優位）を可能とする人材と技術を開拓する必要があり、知識インフラの整備と構築を図ることが必須であろう。そこで、グローバルな知識・イノベーション志向の拠点を創設しようとしている海洋と海事の象徴的国々の例示について、以下では取り上げる。我が国の海洋と海事の社会においても、競争優位の創造のための源泉の1つとしての技術、知識、情幸臥優位の持続のためのイノベーションの拠点を築くその意義についての論議が必要と思える。