編集後記

摘要

◎10月23日に福島県「県民健康調査」検討委員会が， 11月30日に甲状腺検査評価部会が開かれました。両 会は任期により委員が交代しました。とりわけ評価部 会は6月に2年以上の間隔が空いた後に開かれてす ぐに改選，新部会長に鈴木元氏が就きました。評価部 会は，今後2年をかけて被曝影響評価を行うとしてい ます。◎旧評価部会が15年3月にまとめた「甲状腺 検査に関する中間取りまとめ」は，先行検査(1回目の 検査）にもとづく見解です。奇怪なことに，この2年 以上前に発表され，データとしては3年前のものにも とづく見解を利用した言説が最近目にされます(学術会 議分科会報告「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題」（17年9月1日）の問題は17年11月号で言及)。◎本格検査·検 査2回目のデータに向きあえば，地域差を否定できません（17年8月号，9月号，今号)。このことは先の評価部 会でも言及されましたが，判断は先送りされています。 ◎部会長の鈴木氏は，先立つ検討委員会で自身が代表 を務める線量評価研究(資料6,以下鈴木研究）を発表。中 間段階との位置づけですが，ヨウ素/セシウム比や沈 着速度の設定によって被曝量が過小評価となる恐れが あります（study2007著『見捨てられた初期被曝』および本誌 ウェブサイト関連情報ページ参照)。◎study2007氏は体表 面汚染スクリーニングの測定データを分析することを 提案していました。鈴木研究は同じアイデアにもとづ きますが,測定データは3月17日までの限られた範 囲のもので，確かに存在した10万cpm以上の測定も 含まれていません。◎しばしば，一論文の報告では取 り上げるに値せず国際的な評価に従うという態度がみ られますが，鈴木研究はどのようにクロスチェックを 受けるのでしょうか。また，もし鈴木研究を被曝影響 評価の材料とするならば，鈴木氏が部会長であるのは 議論の構造上，不適切です。◎2017年総索引は，編 集上の都合により次号掲載予定です。