新手法で超伝導転移を観測阪大ダループが成功

摘要

大阪大学大学院基礎工学研究科附属極限科学センターの中尾敏臣特任助教らの研究グループは、超高圧下で単体の硫黄と水素から直接的に合成されたH_2 Sの超伝導転移を観測することに成功した。近年、超高圧力下の新奇な水素化物が示す高温超伝導が注目を集めている。これまでの研究で、水素と単体元素を、100万気圧を超える超高圧力下においてレーザーで加熱することにより水素化物を直接的に合成することが有効であることが分かっている。ただ、常温常圧で気体である水素を高圧力発生装置内に閉じ込める技術や、合成した水素化物の超伝導をその場観察する測定技術の実現は困難であるとされてきた。そこで、研究グループは、水素を極低温下で液化することで高圧力発生装置内に閉じ込め、微細な電極を装置内に導入することで水素化物合成と超伝導転移の観測を同時に可能にする実験技術を開発した。これは母材となる物質と水素を超高圧下でレーザー加熱することで反応させる手法と電気抵抗測定を組み合わせたものである。